第5章

夜が明けるまで、私は震える手で書き続けた。七年分の秘密を、インクに滲ませるようにして。ようやくペンを置いた頃には、太陽はとうに空高く昇っていた。何時間も酷使した指は、痙攣し、熱っぽく痛んだ。

私たちの過去を紙の上に蘇らせる作業は、葬り去ったはずの記憶を呼び覚ました。とりわけ、母のことだ。母は亡くなる前、私にこう言い遺した——深く愛した男に、自分の命が尽きる様を見せつける苦しみを、決して味わわせてはならない、と。

月曜の朝、私は物置にいた。埃まみれの段ボール箱を漁り、古いバレエの演目表を探していた。かつての栄光のかけらでもいい、過去の自分を思い出せる何かを、必死に求めていたのだ。

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